作品評

【考察】「100日後に死ぬワニ」はなぜ炎上したのか?

どうも!マスゴミテレビ局員Tです!
今日は「100日後に死ぬワニはなぜ炎上したのか?」をお話しします。

Tは「100日後に死ぬワニ」はSNS時代に現れた令和最初の傑作だと思っています。
しかし、そんな傑作がなぜ炎上してしまったのでしょうか?

Tはものづくりに携わる人間として批判を覚悟で言いたいです。

「100日後に死ぬワニ」を炎上させている人間に、コンテンツを楽しむ資格はない

厳しい言い方をしてしまいましたが、こう言い切る理由を背景と共にご説明しましょう。

ちなみに「100日後に死ぬワニ」を面白いと思うかどうかは自由ですので、そこを否定している訳でないことはご理解ください。
Tの怒りはあくまで、「最終回まで大絶賛していたのに、最終回後に手のひらを返したように批判している人たち」に向けたものです。



■「100日後に死ぬワニ」とは?

「100日後に死ぬワニ」は漫画家のきくちゆうき先生がTwitterに連載していた4コマ漫画。
コマの枠外で「死まであと○日」と記載されているのが特徴で、主人公であるワニが死を迎えるまでの100日間を「4コマを1日」としたカウントダウン形式で描いています。

描いている内容は、何気ないワニの日常。
しかし、「〇日後に死を迎える」ことが分かって読むことで、その何気ない日常が切なくかけがえのないものに見えてきます。

Tが思うこの作品のすごさは、

  • 「死」と「日常」を巧みに融合させたこと
  • SNSを上手く利用したこと

この2つだと分析しています。

■「死」と「日常」を巧みに融合させた

私たちは普段、「死」と「日常」は「対極にある」と思ってしまっています。
私たちにとって「死」は非日常であり、身近な人の不幸でもない限り、感じることはないからです。

しかし、実際はそうではなく、死は日常に潜んでいます。
ところが、それを読者に分からせるのは非常に難しいです。
よくあるパターンだと、「戦争」や「災害」「病気」をテーマにしたお涙頂戴的な作品ですかね。

しかし「100日後に死ぬワニ」は、別にお涙頂戴ものではありません。
例えば、ワニは映画を観終わって「次回作が楽しみ」と笑顔になります。
ただ最後に「死ぬまで〇日後」と書かれているので、読者は「おそらくワニは次回作を観れないんだろう」と気づいて勝手に複雑な気持ちになるだけです。

漫画によくある「戦争」や「災害」ではなく、あえて死から最も遠い「日常」を描き、そこにテロップを1行入れるだけで、強烈に「死」を読者に意識させる。
この手法は見事というほかありません。

作者自身も最終回の翌日の配信で、

「何があるか分からない中で、限りある時間を大切にしてほしいとのメッセージを伝えたい」

と語っています。

■SNSを上手く利用した

「100日後に死ぬワニ」はTwitterで毎日1話更新されていきました。
つまり「作中の100日」と「現実の100日」がリンクしていたのです。

読者は早い段階から、この作品は2020年3月20日に終了すると逆算して分かっていました。
そのため現実世界では、最終回に向けて読者による考察合戦やワニの延命嘆願など様々な盛り上がりを見せました。

これはTwitterだからできた手法です。
どの紙媒体でも、毎日更新する手法は使えません(もしかしたら新聞の4コマならできたかもしれませんが)。

また毎日1話更新されるシステムが認知されると、読者も毎日「ワニ」を読むのが習慣になってきます。
読者に習慣ができるコンテンツは非常に強いんですよね。
テレビ業界でも「視聴習慣」という言葉が使われます。
人気番組はたいてい視聴者に「視聴習慣」を持たせることに成功している訳です。

さらにSNSで公開したことで、読者は「無料」でコンテンツが楽しめ、さらに自分の知り合いに「いいね」や「RT」という形で気軽に広めることができたのもポイントです。
これによって「100日後に死ぬワニ」は爆発的に拡散されていったのです。

この作品がもし最初から単行本で発売されていたなら、おそらく大ヒットはしていないのではないでしょうか。

■なぜ炎上してしまったのか?

メディアでも取り上げられ、多くのファンを味方につけた「100日後に死ぬワニ」。
予定通り、3月20日に最終回を迎えました。
ワニの最期については、ネタバレになるので避けますが、「100日後に死ぬワニ」らしい最終回だったと思います。

しかし、問題はここから。
最終回後に、立て続けに様々な「グッズ展開」や「コラボ作品」が発表されると、一部のファンが猛反発したのです。

「ワニは商業作品だったんだ!」「ワニはステマ!」などの批判が噴出。
さらに、企画自体に電通の関与が噂され、「電通案件」というワードがTwitterの国内トレンドで1位になるほどの騒ぎに。

実際は、電通が関わったのは「いきものがかりとのコラボムービー」のみだったそうですが、批判の声はやみません。
社会現象になるほどの話題作だっただけに、炎上騒ぎも大きくなってしまいました。

せっかくの素晴らしい作品が、なんとも後味の悪い結末を迎えてしまったのです。

■コンテンツを殺す日本人の「嫌儲」思想

批判の声を簡単にまとめると、

「こっちは純粋に楽しんでいた、死について考える良いきっかけになってたのに、お前ら結局 金儲けのためにやっていたのかよ

これが批判の大半です。

日本人はこうした嫌儲(=人が金儲けすること自体を嫌う心理的反発やクリエイターがインターネット上にコンテンツを提供し、その対価を得ることに対する心理的反発を表すインターネットスラング)が強い民族だと思います。

確かに昔よりコンテンツは低料金で楽しめるようになってきました
法律で受信料の支払いが義務づけられているNHKをのぞき、民放テレビは無料。

漫画も様々なアプリを駆使すれば多くは無料で楽しめます。
SNSには「100日後に死ぬワニ」以外にもたくさんの無料マンガがあふれています。

ネット記事も大半は無料で楽しめるので、新聞は不要です。
ラジオもラジコで全国のラジオが無料で聴けます。
AmazonプライムやNETFLIXなどのサブスクは、見放題と錯覚してしまいますし、今お金を払う感覚のある動画コンテンツは映画くらいかもしれません。

日本人にとって、コンテンツは「無料で楽しめるのが当たり前」の時代なのかもしれませんね。
でもこんな時代だからこそあえて言います。

クリエイターがお金を稼ぐために作品を作ることの何が悪い!?

100ワニの読者は「純粋に楽しんだ」「死を考えるきっかけになった」と様々な特別な時間や感情を与えてもらったはずです。
Tもその1人です。
だからそんな作品を世に送り出した作者にはお礼を言いたいし、次回作も楽しみにします。

でも、作品によってお金を稼げなかったら、そのクリエイターに次はないんです。
彼らにも生活があり、コンテンツを生み出すのには途方もない時間と労力がかかるのですから。

しかも今回の場合、「最終回まで読んだならお金を払え」と急に請求してきた訳ではありません。
「みなさんのおかげで話題になったので、様々なコラボやメディア展開しますよ。よかったらまだ楽しんでくださいね」とお知らせしただけです。

「僕の中で100ワニはあの最終回で終わり。これ以上はいいや」と思う場合は、別にそれ以上付き合わなければいいだけのはずです。
そうすれば、100ワニは無料で100日も楽しめた異例の超優良コンテンツのままです。
なんでいちいち噛みついて騒ぎを起こしたいのでしょうか?

急に手のひらを返した今回の炎上騒動は、明らかに炎上させた側の程度の低さを露呈していると思えてなりません。

■本当に銭ゲバなら、最終回まで無料で公開していない

もしTが「100日後に死ぬワニ」の作者であれば、世間で盛り上がってきたのを見計らって、後半は有料で公開するかもしれません。

よくありますよね、漫画アプリで「1巻だけ無料」の漫画。
無料だから1巻だけ読むかと思って手を出すと、続きが気になって続巻も買ってしまう。

100ワニも別に、この手法をとっても良かったんです。
結末が気になるなら、ここからはお金を払ってね!

これも批判が出るでしょうか、まったく問題があると思いません。
むしろそんな声には「ボランティアでやってるとお思いですか?」と返してやればいいのです。

しかし、作者はそうはしませんでした
きちんと100日間、最後までSNSで作品をアップし続けたのです。

これは本当に大変な挑戦だったと思います。
それがようやく実を結び、読者からも愛される作品に成長して大団円を迎えた・・・
はずが、まさかの読者からの手のひら返し。
あられもない噂まで流され、自分の作品がズタズタにされる。

Tなら耐えられないほど悔しいと思います。
批判している人たちは自分たちの“暴力”をどう認識しているのでしょうか?

■最終回直後に「不謹慎」という声もある

中には、100ワニが最終回を迎えた直後に、矢継ぎ早にメディア展開が発表されたことが「不謹慎」という声もあるそうです。

では逆に聞きましょう。
いつ発表すればよかったんですか?

最終回に向けて、盛り上がる途中に発表していたら・・・
きっと、同じようにステマだのなんだの騒ぐのでしょうね。
そうなるときっと、最終回を純粋に迎えることはできなかったでしょう

最終回から間を空けたら?
今の日本は様々なコンテンツが氾濫しており、時代の流れもはやいです。
いくら話題作でも最終回を迎えてしまったら、すぐに忘れ去られていくでしょう。
本当にメディア展開を成功させたければ、鉄は熱いうちに打つしかなかったのではないでしょうか。

以上から、Tは最終回の1番盛り上がった直後に様々なメディア展開を発表したのは、適切だったと思っています。

■優れた作品には投資をしよう

いかがでしたか?
少し前に「漫画村」も問題になりましたが、日本人は優れたクリエイターに対してもっと対価を支払うべきです。
そうしないと才能あるクリエイターは減ってしまうでしょう。

Tは面白いと思った作品があれば、「作者への投資」だと思って必ず購入します。
だって打ち切りになったら悲しいし、才能ある作者なら次回作も期待したいですから。

これはTが「テレビ局という大きな傘」に守られた「なんちゃってクリエイター」だからこそ感じるのかもしれません。
テレビ局員は、良い仕事をしようと、悪い仕事をしようと給料は一定で守られています。

しかし本物のクリエイター(漫画家やアーティスト)は違います。
Tが選べなかった本物の茨の道を選んだ彼らがどうか報われますように。
才能のある者が、適切な対価を得られて、最高の作品を世に送り出す、良い循環が当たり前の社会になりますように。

そしてどうか、お金を払わなくてもいいから、こんなことで炎上させないで欲しいのです。
一生懸命なクリエイターの足を引っ張り、やる気を奪わないでください。
コンテンツを愛する者の一人として、心からお願いします。

きうちゆうき先生、素敵な作品をありがとうございました。

以上、名もなきテレビマンの独り言でした。
ではでは

 

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