どうも!マスゴミテレビ局員Tです!
今日は「【視聴率で振り返る2019年度のテレビ業界】最も視聴率を稼いだ局は?」をお届けします。
2019年度の各局視聴率を観ながら、現役テレビマンの目線で、19年度のテレビ業界を振り返ります。
さらに4月からの各局の改編状況も分析しつつ、各局の狙い・戦略をまとめていこうと思います。
民放テレビ局の社内指標が「世帯」から「個人」に変更するなど、大きな変革にあるテレビ業界。
今のうちにおさらいしておきましょう!
目次
■19年度の各局視聴率
2019年度の各局視聴率を表にしました。
日本テレビ | テレビ朝日 | NHK総合 | TBS | フジテレビ | テレビ東京 | |
---|---|---|---|---|---|---|
ゴールデン (19~22時) | 11.6 (-0.3) | 10.8 (+0.3) | 10.5 (+0.6) | 9.1 (-0.9) | 8.3 (+0.2) | 6.0 (-0.3) |
プライム (19~23時) | 11.2 (-0.3) | 11.0 (+0.4) | 9.1 (+0.4) | 9.1 (-0.8) | 8.0 (+0.1) | 5.5 (-0.4) |
全日 (6~24時) | 7.9 (+0.1) | 7.7 (±0) | 6.5 (+0.2) | 6.0 (-0.2) | 5.7 (±0) | 2.6 (-0.1) |
期間は19年4月1日~20年3月29日(関東地区・世帯)。
()内は前年同期との比較地です。
日本テレビが「ゴールデン」「プライム」「全日」の3冠を達成しました。
これはなんと6年連続3冠という圧倒的な記録。
惜しくも2位だったのがテレビ朝日。
「ゴールデン」では0.8ポイント差をつけられたものの、「プライム」と「全日」では0.2ポイントまで差を縮めていました。
また、今回はNHK総合が「ゴールデン」で去年より0.6ポイントも伸ばして3位にランクイン。
広告収入に頼らないNHKですが、視聴率を稼ぐことは国民のニーズを満たしているとも言えるので、素晴らしい成果でしょう。
今回「ゴールデン」「プライム」「全日」で順位の変動がなかったので、明確に各局の明暗が分かれた年となりました。
局ごとに、詳しく見ていきましょう。
■1位 日本テレビ
日本テレビは6年連続3冠という大記録を達成しました。
しかし、王者として笑っていられる余裕の状況ではありません。
「ゴールデン」「プライム」共に去年から0.3ポイントダウンさせており、テレビ朝日との差も縮まっています。
日本テレビの魅力はなんといっても「家族視聴できるゴールデンタイムのラインナップ」。
特に日曜日のゴールデンタイムは好調で、「バンキシャ→鉄腕DASH→イッテQ→行列」の流れはテレビ業界最強の布陣です。
しかし、ここでもテレビ朝日の「ポツンと一軒家」が優勢で、イッテQスタッフは悔しい思いでしょう。
また、去年は日曜ドラマ「あなたの番です」が大ヒット!
日本のテレビ業界では珍しい2クールドラマで、後半に向けてグイグイと視聴率を上げていく様は爽快でした。
続く「ニッポンノワール」と「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」は思ったように数字が伸びなかったものの、今年もこの枠には注目が集まります。
日本テレビは去年から社内指標を「世帯」から「個人」に移行しています。
そして4月からは「潜在コア層(在宅している若者層)」の掘り起こしを目指した改編を行いました。
世帯視聴率10%を超える「誰だって波乱爆笑」を終了させ、コア層に高い指示を受ける「シューイチ」と「ニノさん」を各30分拡大。
さらにゴールデンタイムである水曜19時枠「衝撃のアノ人に会ってみた」の後枠に、なんと「有吉の壁」を採用。
平日19時枠は各局が情報番組の編成をすすめる中、あえて純度100%のお笑いで勝負する取り組みは非常に新しいです。
日本テレビの改編は、コア層をターゲットにした非常に明確な戦略です。
これが成功すれば、再びバラエティ番組に光が当たる時代が来るかもしれませんね。
バラエティ番組のディレクターをしているTも大注目しています。
■2位 テレビ朝日
惜しくも2位に終わったテレビ朝日ですが、「プライム」「全日」では0.2ポイント差まで迫るなど、王者の背中が見えてきています。
好調の要因を探ると、まずドラマ「相棒」「科捜研の女」「ドクターX」などシリーズものが絶好調。
さらに朝帯では「羽鳥慎一のモーニングショー」が平均9.6%の高視聴率で4年連続民放トップ。
今年度は初めてNHKを含む横並びトップを達成しました。
さらに去年10月に「クレヨンしんちゃん」「ドラえもん」を放送していたアニメ枠を、「ザワつく金曜日」に改編。
ここも安定して2桁とるなど改善されています。
また、何と言っても激戦区である日曜20時台で、「ポツンと一軒家」が平均視聴率20%を超える回もあるお化けコンテンツに成長したこと。
しかし、イッテQのお祭り企画も復活し、まだまだ裏番組も侮れません。
今年もこの高水準をキープできるのか、現場の知恵と工夫が試される勝負の年となるでしょう。
テレビ朝日は、4月改編もさることながら「AbemaTVとの連携」・「動画配信プラットフォーム『TELASA』の新設」も注目です。
AbemaTVはもう説明不要ですが、4月期も「M 愛すべき人がいて」をテレビ朝日とAbemaTVが共同制作します。
さらに4月7日に詳細が発表されるKDDIとコラボした『TELASA』は、「通信と放送の融合、5G時代の先進的なサービス」というコンセプトを掲げています。
テレビ広告費がネット広告費に抜かれた今、テレビは本当の意味で、変革の時を迎えています。
キー局の中でも、先んじてAbemaTVやTELASAなど次々に独自の取り組みを発表するテレビ朝日の動きには注目しましょう!
■3位 NHK総合
なんとNHK総合が3位という好成績。
6局で唯一「ゴールデン」「プライム」「全日」3つ全てでポイントを伸ばしました。
特にゴールデンタイムでは、去年より0.6ポイントも上昇。
これは新型コロナウイルスの影響で、「ニュース7」などの報道番組が好調だったようです。
そんなNHKも新しい取り組みを次々に打ち出しています。
たとえば4月1日から本格スタートした「NHKプラス」。
これは①ネット同時配信と②1週間の見逃し配信を2本柱とするサービスで、受信契約者は追加負担なしで利用可能。
スマホやタブレットでNHKの番組が楽しめるようになり、今の時代に適したサービスとなっています。
さらにNHKのドラマやバラエティが楽しめる「NHKオンデマンド」がAmazonプライム・ビデオでも配信を開始。
広告収入(CM)ではなく、受信料で成り立っているNHKが次々とネットとの融合を果たし、民放各局は冷や冷やしているのではないでしょうか。
民放はCMを必要とするため、なかなかネット同時配信の導入が進まないのが現状ですから。
しかし、視聴形態や視聴媒体が多様化する中、ネットとの誘導を強烈に推進するNHKの戦略は正しいのではないでしょうか。
気になる「受信料の全世帯対象化」については、過去に詳しい記事を書いています。
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■4位 TBS
冬ドラマでは、「テセウスの船」「恋はつづくよどこまでも」でワンツーフィニッシュを果たしたTBS。
しかし、順位はNHK総合に次ぐ4位に沈みました。
しかもゴールデンで0.9ポイント、プライムで0.8ポイントもDOWNしてしまう結果に。
そんなTBS4月改編の目玉は、月曜のゴールデン・プライム帯をすべて改編したこと。
特に22時台には、近年珍しい生放送の音楽番組「CDTVライブ!ライブ!」を新たに編成。
お馴染みの「COUNT DOWN TV」ブランドを活かした番組ですが、これは若年層を狙った挑戦でしょう。
さらに霜降り明星、ミキ、EXITをMCにおいた「霜降りミキXIT(しもふりみきじっと)」が月曜24時台にスタート。
若者に人気の第7世代芸人を起用し、日本テレビと同じく若年層を取り込もうという意図が見えます。
TBSは「東大王」「水曜日のダウンタウン」「モニタリング」「マツコの知らない世界」など若年層・ファミリー層に人気の番組が他の曜日にはそろっていますので、月曜日にもその流れをつなぎたいようです。
日曜劇場「半沢直樹」の続編が待ち遠しいですが、「新月曜日」にも注目です。
■5位 フジテレビ
5位ながら、去年同時期よりポイントは微増しているフジテレビ。
「ゴールデン」で0.2ポイント、「プライム」で0.1ポイント上昇しました。
フジテレビの改編のテーマは「追求」で、ゴールデンタイムのバラエティー番組を全て現行のまま継続。
一方、午後10時以降は見直しをはかり、新バラエティー番組をスタートさせます。
大きな改編でいうと、水曜22時は「BACK TO SCHOOL!」を終了させ、新バラエティー「突然ですが占ってもいいですか?」に変更。
月曜23時は「石橋貴明のたいむとんねる」を終了させ、人気グループ「関ジャニ∞」の新番組をスタートさせます。
Tとしては、「めちゃイケ」や「おかげでした」などバラエティ黄金期のイメージが強いフジテレビ。
社内にはバラエティ制作のノウハウは培われているはずなので、フジテレビらしいバラエティに期待したいです。
■6位 テレビ東京
フジテレビとは逆で、「ゴールデン」「プライム」「全日」すべてでポイントを下げたテレビ東京。
この結果が影響したのか、今回の改編率は全日帯(午前6時~深夜0時)19.2%、ゴールデン帯(午後7~10時)31.5%、プライム帯(午後7~11時)29.3%と、前年同時期と同様高めの数字となりました。
個人的には、金曜19時枠に編成された新番組「デカ盛りハンター」に注目しています。
人気のフードファイターたちが、デカ盛りグルメに挑戦する大食い企画。
近年ここまで真っすぐにフードファイト企画を前面に出す番組は少なかったので、テレ東らしい独自路線に期待しています。
■「世帯」から「個人」へ
今年度から各局で視聴率の指標が現行の「世帯」から「個人」へ移行します。
今までの世帯視聴率は、家族全員がお茶の間でテレビを観る時代の指標。
一方「個人」は、文字通り個人ベースでどれくらい番組が見られたかが正確に分かる指標となります。
「世帯」から「個人」に変更すると、見かけの数字が少なくなったように見えます。
さらに「世帯」数字がよくても、「個人」数字では低くなる番組も存在するなど、様々な混乱が発生する可能性があります。
この新しい視聴率の指標、対外発表方法は局によって異なるようです。
現状、テレビ朝日・TBS・フジテレビは「個人・世帯両方の数字を発表」。
テレビ東京は引き続き「世帯での発表」。
また、他局に先んじて社内指標を個人に変更している日本テレビは「個人を中心に発表」。
NHKは検討中だそうです。
早くからその対策をとってきた日本テレビと、明確に若年層・ファミリー層に向けた改編を行ったTBSの視聴率がどう推移するか。
また、元々若年層の視聴が多いフジテレビや、ニュースが好調なNHKの視聴率はどう変動するか。
今年は「個人視聴率」にも注目して、その動向を追いかけましょう。
以上、名もなきテレビマンの独り言でした。
ではでは