どうも!マスゴミテレビ局員Tです!
今日は「「99人の壁」不適切手法に怒り【ディレクターが斬る】」をお話しします。
2020年4月3日、フジテレビが「超逆境クイズバトル!! 99人の壁」で不適切な手法での番組制作が行われたと発表・謝罪しました。
いったい何があったのでしょうか?
さらに、現役テレビマンとしての見解も述べさせてもらいました。
Tは今回の事案を「断罪されるべき重大なヤラセ」だと考えています。
フジテレビが公表した「不適切な手法の内容」さらに「Tが断罪する論拠」を順にご説明します。
目次
■「超逆境クイズバトル!! 99人の壁」とは?
「超逆境クイズバトル!! 99人の壁」はフジテレビで放送されているクイズ番組です。
一般人・著名人を含む100人の参加者の中から選ばれた1名のチャレンジャーがクイズに挑戦。
「得意ジャンル」に関するクイズに5問連続で正解すれば100万円を獲得できます。
しかし、残り99人の参加者(ブロッカー)は、それを早押しで阻止することができるのが番組の特徴。
ブロックに成功すると、「次のチャレンジ権は阻止した参加者に移る」「有名人をブロックするとボーナス賞金がもらえる」などのルールが設けられ、意欲的なブロッカーたちの早押しが、数々のドラマを生んできました。
さらにMCの佐藤二朗さんは、素人参加者をイジるのがめちゃくちゃ上手で、心地いいんですよね。
この番組が初めて特番で放送されたとき、Tは「やられた!」と思いました。
クイズ番組という“こすり倒されたはずのジャンル”で、画期的かつシンプルで分かりやすいシステムを整えた素晴らしい企画。
当時、初めて「ほこ×たて」を観た時のような衝撃を受けたのを覚えています。
佐藤二朗さんの力量ももちろんスゴイですが、企画したテレビマンは相当優秀だと思います。
■不適切な手法の中身
しかし、そんな素晴らしい番組で起こってしまった不適切な手法。
いったい何があったのでしょうか?
まず、フジテレビが番組HPに掲載した謝罪文を見てみましょう。
■番組HPの謝罪文(全文)
『超逆境クイズバトル!!99人の壁』に関して、一部不適切な手法を用いて番組を制作していたことが判明しましたのでご報告いたします。
本番組は1人のチャレンジャーが、99人の壁の解答者に阻まれながら全問正解を目指すクイズ番組です。100人の出場者を集めて収録すべきところ、人数が不足した場合、解答権のないエキストラを番組に参加させていたことがわかりました。本番組が標榜している「1人対99人」というコンセプトを逸脱していたことになります。
現在は、企画内容や参加者の選出方法を見直して適切な手法で番組を制作しておりますが、今後、不測の事態で人数不足が生じた場合でも、その旨を明確にした上で放送することにいたしました。
視聴者の皆様の信頼を損なう形となっていたことを真摯に反省し、番組をご覧の皆様およびすべての出演者、関係各位の方々に心からお詫び申し上げます。
フジテレビ番組HPより
重要な個所はTの判断で赤字にさせていただきました。
要は「100人集められなかった時は、エキストラ座らせてごまかしてた」ということですね。
その回数、なんと特番だった2017年8月からレギュラー化以降の19年10月まで「計26回」の放送で行われていたのです。
完全に常習犯ですね。
参加させたエキストラの人数は平均で10人以上だそうです。
■なぜ発覚したのか?
2020年2月中旬にエキストラの人間からBPO(放送倫理・番組向上機構)に意見が寄せられ、社内調査を行ったそうです。
その結果、不適切な手法が判明し、今回の発表に踏み切ったようです。
現状、フジテレビが行ったのは不適切な手法だったと謝罪したのみで、次回放送については未定です。
関係者の処分についても検討しているそうですが、打ち切りはないとのこと。
■テレビディレクターとしての見解
ここからは、テレビ業界で飯を食っているTの見解です。
「99人の壁」の事例は、完全に「不適切・ヤラセ」に当てはまる重大な案件です。
しかも、ヤラセの中でも悪質な事案に当てはまると考えています。
なかには「足りなかった人を補充しただけじゃん?何が悪いの?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、今回の件はそれでは済まされません。
なぜなら番組のコンセプトは、タイトル通り「99人 VS 1人」のクイズバトルであること。
視聴者は1人の回答者と99人のブロッカーによる、手に汗にぎる早押しバトルに熱狂していたのです。
今回の事案は番組企画の根幹が完全に崩れ去るものなのです。
例えて言えば、
- クイズ番組で、事前に回答者にクイズの中身と回答を伝える
- 大食いバトルで、ご飯の量を偽る
- 裏も取らず、取材もせずに、キムチが頭痛に効くと放送
- 医者として紹介・取材した人物が、実は無職の一般人
どうですか?
誰が見ても絶対にダメな「ヤラセ」と分かりますよね。
今回の「99人の壁」の事例は、これらに匹敵するレベルなのです。
なぜなら「一般人の番組参加者」として紹介しているのにもかかわらず、実際はエキストラでクイズの回答権も持っていなかったのですから。
参加者の前にそれぞれの「得意ジャンル」が書いてあるのですが、それも噓っぱちだった事になりますね。
■なぜヤラセが起きるのか?
Tは「ヤラセの原因」について、大きく2つに分けられると考えています。。
- 追い詰められたスタッフの暴走
- スタッフのおごり・怠慢
今回はどちらに当てはまるのでしょうか?
■追い詰められたスタッフの暴走
ほとんどのヤラセはこちらに当てはまります。
みなさんが想像している以上に、テレビマンは四六時中、恐ろしいプレッシャーに襲われています。
「なんとか企画を成立させよう」「番組に穴をあけてしまう」「人気コーナーなので継続しないといけない」・・・
局員であるTですら日々耐えがたい重圧と戦っています。
それが制作プロダクションの人間であれば、きっと想像を絶するプレッシャーでしょう。
最悪、首を切られる可能性もある訳ですから。
そのプレッシャーをはねのけて人気番組は生まれます。
しかし、それが最悪の形で出ると「ヤラセ」となってしまうのです。
このパターンの特徴はスタッフに悪気はないということ。
「良い作品を作らないと」「結果を出さないと」「企画を成立させないと」という強迫観念に追い詰められて暴走してしまう。
決して褒められたことではありませんが、同じテレビマンとしてその気持ちだけは理解できます。
そのため、同じヤラセであっても、このパターンに当てはまる場合は番組を「打ち切り」にしないで欲しいとTは思っています。
番組を打ち切りにするのではなく、職場環境を改善すれば、次は防げると思うからです。
最近の例でいえば「クレイジージャーニー」がこれに当てはまるかもしれません。
海外ロケまでしたのに、狙っていた珍しい生き物を撮影できなかったら企画がボツになってしまう。
あるいは、視聴者にもっと珍しい生き物を見せて楽しい気持ちにさせたい。
こんな気持ちが暴走してしまったのではないでしょうか?
しかし、今回の「99人の壁」の事例はこちらに当てはまらないとTは考えます。
■スタッフのおごり・怠慢
ハッキリ言います。
Tはこちらに当てはまるヤラセの方が悪質だと思っています。
スタッフのおごり・怠慢は「別にいいだろ(確認しない)」「どうせバレないだろ(視聴者をバカにしている)」こういったテレビマンの悪い部分が出たヤラセのパターンです。
「発掘!あるある大事典」の事例が分かりやすいでしょうか。
「納豆によるダイエット効果」という丁寧に扱わなければならない非常にセンシティブなネタで、取材や裏取りをちゃんとしない杜撰な情報のまま放送する無神経ぶり。
これはスタッフのおごり・怠慢が原因であることは明らかです。
実際、この問題は番組の打ち切りや関係者の処分だけにとどまらず、制作した関西テレビは民放連を除名される事態にまで発展しました。
もちろん内部の事情までは分かりません。
しかし、今回の「99人の壁」はこちらに当てはまるのではないかとTは考えています。
最初は「なんとか企画を成立しなければ」という焦る気持ちでエキストラに手を出したかもしれません。
しかし、26回も繰り返すということは「どうせバレないだろう」というスタッフのおごりがあったと判断せざるを得ません。
きっと回数を重ねるごとに罪悪感も薄れ、警戒心もゆるんでいったんではないでしょうか。
どこまでのスタッフがエキストラの件を知っていたか分かりませんが、知って放置していた局員は全員処罰されるべきでしょう。
Tはせめて「番組スタッフ」が勇気を持って告発したのかと思っていましたが、それもエキストラの通報。
同じテレビ局員として恥ずかしい限り、怒りも覚えます。
これだから「テレビはマスゴミ」って言われちゃうんですよね・・・
■「打ち切り」にしなかったフジテレビ
現状、フジテレビは関係者の処分は検討していますが、「番組の打ち切り」は考えていないそうです。
Tはこの発表だけはフジテレビを支持したいと思いました。
最近は何かあればすぐに「打ち切り」という処置がなされます。
そして何が悪かったのか、だれが悪かったのか、よく分からないままうやむやに終わってしまい、番組ファンだけが悲しい思いをするパターンが非常に多いです。
それは避けられそうなので、Tは一安心しました。
ブログの前半でも説明しましたが、番組の企画自体は非常に素晴らしいものです。
制作現場を改善し、よりよい形で放送を続けて欲しいです。
■まとめ
いかがでしたか?
テレビ業界の「不祥事」や「打ち切り」については、他にもまとめ記事を書いていますので、ぜひ読んで欲しいです。
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以上、名もなきテレビマンの独り言でした。
ではでは