作品評

映画『Fukushima 50』感想レポ【ネタバレ無し】

どうも!マスゴミテレビ局員Tです!
今日は映画『Fukushima 50』を観ての感想・評価をレポートします。

3.11 東日本大震災で津波に襲われた福島第一原子力発電所を舞台に、現場で奮闘し続けた作業員を描いたこの映画。
控えめに言って、最高でした。

実は「パラサイト」を見に行った時の劇場の予告だけで涙してしまったT
公開されたら絶対に行こうと思っていました。

そして案の定、映画を観ている約2時間ずっと涙が止まりませんでした。
日本人なら絶対に観ておくべき映画です。

報道・ニュースでは見えてこない現場作業員たちの覚悟・奮闘・苦悩。
あの現場で何が起こり、作業員やその家族は何を考えていたのか」がビシビシと伝わる骨太の人間ドラマです。

皆さんにも映画館に足を運んでもらいたいので、今回はネタバレ無しでレポート!
ちなみに今作は賛否がハッキリ分かれた映画と言われています。
私は賛成の立場ですが、否定派の意見についても言及していきます。

■映画『Fukushima 50』あらすじと原作

マグニチュード9.0、最大震度7という巨大地震が起こした想定外の大津波が、福島第一原子力発電所(イチエフ)を襲う。浸水により全電源を喪失したイチエフは、原子炉を冷やせない状況に陥った。このままではメルトダウンにより想像を絶する被害をもたらす。1・2号機当直長の伊崎ら現場作業員は、原発内に残り原子炉の制御に奔走する。全体指揮を執る吉田所長は部下たちを鼓舞しながらも、状況を把握しきれていない本店や官邸からの指示に怒りをあらわにする…

映画「Fukushima 50」公式サイトより引用

映画は3.11 巨大地震が東日本を襲う場面からスタート。
津波の浸水、SBO(全電源喪失)、世界初のベント、1・3・4号機の爆発、増え続ける放射線量…
物語は時系列・事実ベースで進行し、その時々で現場の作業員たち・現地の緊急対策室・東京の東京電力本店・首相官邸で何が議論され、何が行われていたのかを鮮明に描き出しています。

まず東日本大震災、そして福島第一原発事故を振り返る教材として非常に良くできています。

Tは震災当時、情報番組を担当していました。
もちろん番組の内容は東日本大震災一色です。
まだ下積みのADだったTは毎日「福島原発が今どうなっているか?」を調査し、先輩Dに報告する業務を担当していました。
「ベント」だの「メルトダウン」だの、難しい専門用語が飛び交う中「どうやったら一般の視聴者にも分かりやすく、正しい情報を届けられるか?」
それだけを必死に考え、ずっと「新聞の切り抜き」と「専門家への電話取材」を続けていました。
そんな生活を震災発生から半年以上続けていました。

9年が立った現在。
当時あれだけ福島原発を追い続けていたTも、あの日の記憶は薄れつつあります
絶対に忘れてはいけない災害・事故なのに風化は避けられないのでしょうか。

あの日あの場所で何が起きていたのか?
これを再確認できるだけでも、この映画を観る価値はあると思います。

そして驚くべきは脚本の完成度
非常に詳細かつリアルで、まるで現場を観てきた人が書いたようなリアリティです

それもそのはず。
映画の原作は「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)
著者はジャーナリストの門田隆将さんで、時を知る90人以上への独自取材と実名証言をもとに書かれた渾身のノンフィクション。
当時現場にいた人間しか知り得ない緊迫の状況、現場と本店・官邸との衝突などが実名で綴られています。

門田さんの徹底的な取材が根底にあるので、現場にいた人間しか描けないような臨場感ある脚本となったのでしょう。

そしてこの難しい題材を2時間の人間ドラマに仕上げた脚本家は「下町ロケット」などを手掛けた前川洋一さん
やっぱりこの方は人間の魂が震わせ方が分かってますよね。
まんまとやられました。
1ラウンド目からK.O.されてましたもん。

Tはこの映画を観て、原作も合わせて読みたいと思いました。
映画の2時間ではおさまらない、さらなる「Fukushima 50」の真実がそこにはあります。

■日本映画史に残る傑作

まず、メインの佐藤浩市さんと渡辺謙さん、この2人の演技が素晴らしすぎます。

佐藤浩市さんが演じるのは、原子炉1号機・2号機の中央制御室に最後までとどまって奮闘した当直長の伊崎。
そして、渡辺謙さんが福島第一原発所長の吉田昌郎を演じています。
(映画では吉田所長だけが実名で、それ以外の役名は仮名か肩書のみとなっています)

現場で指揮をとる2人は、次々に重い決断をせまられます。
仲間に「死んでくれ」と言うに等しい指示を出す場面も。
待ってはくれない緊迫した状況下で、極限の苦悩の連続。
この2人の演技は、平和ボケしたTの脳にガツンときました。

そして脇を固める俳優も実力派ぞろい

5・6号機の当直長を演じる吉岡秀隆さん
ベントに向かうベテランを演じる火野正平さん
東電本社で現場の吉田所長に無理難題を押し付ける段田安則さん篠井英介さん
佐藤浩市さんの娘役を演じる吉岡里帆さん

みなさん文句なしの演技力。
安心して映画の世界に没入できます。
今作は現場の作業員だけでなく彼らの家族の心情も描かれているため、現場で戦う1人1人にも愛する家族がいたという当たり前の事実を思い出させてくれます。

そして、なんといっても佐野史郎さんの怪演!
声だけ大きくて、現場の邪魔にしかならない首相役を演じています。
もうね、佐野さんの演技がすごすぎて本当に怒りを覚えるレベル。

現場が死ぬ思いでやってるのに、傍若無人な上の人間が邪魔をする。
報告や視察といったどうでもいい理由で。
どこの世界も同じなんですね。

当時の首相といえば菅直人さん。
彼は映画を観てどう思ったのでしょうか?

さらにCG技術も邦画では最高レベル。
特に津波の映像はインパクト大で、冒頭からその圧倒的な映像に引き込まれました。
人によっては「辛くて見たくない」と感じてしまうかもしれませんが。

「現場を観てきたかのようなリアルな脚本」×「実力派ぞろいの俳優陣」×「最高レベルのCG」
「Fukushima 50」は三拍子そろった日本映画史に残る傑作です。

■賛否が真っ二つ。批判の声も多い

こうして大満足で映画館を出たT。
しかし、帰宅してから調べてみると、「賛否」がハッキリ分かれている映画だと知り驚きました。
否定派の主な意見はこうです。

「過剰に美化されていて、根本的な問題を見落としている」
「当時の首相をバカにしている脚本は、現政権の擁護だ!」

なるほど、それは私も映画を観て少し感じていました。
現政権の擁護だとは思いませんでしたが、「本当にこれがすべて事実なのだろうか?」とは疑問を感じました。

でもこれってある意味「当たり前」なんですよね。

報道は公平であるべき」と皆さん思っているかもしれません。
しかし報道にはそれぞれのメディアの立場・主義主張が必ず存在しているんですよね。
同じニュースでも、新聞各紙を見比べてみて下さい。
右もあれば左もある。
それが報道というものです。

ましてや今作は報道でもドキュメンタリーでもなく「人間ドラマ」です。
死の淵で諦めず戦った作業員に焦点を当て、彼らの物語を通していかに観客の心を揺さぶれるかが勝負ですよね。
たしかに一部の人が反応するくらい、首相は無能に描かれていましたが…

Tはこの映画によって「東日本大震災」「福島原発事故」についての議論が再び巻き起こったことが素晴らしいと考えています。
福島原発事故はまだ終わっていません。
今も非難区域に指定され、自宅に帰れない人たちもいます。

これからも東日本大震災を題材にした様々な作品が生まれることでしょう。
そうやっていつまでも記憶を風化させず、賛否巻き込んで議論を重ねていくことが重要なのではないでしょうか。
そしていつか「福島は完全に復興した」と呼べる日が来ることを祈るばかりです。

■まとめ

いかがでしたか?
何度も目頭が熱くなる、骨太の人間ドラマ。
日本人として絶対に忘れてはならない「東日本大震災」と「福島原発事故」。
記憶を風化させないためにも、後世に語り継ぐ意味でも、ぜひ家族で観ることをおすすめします。
ちなみに、コロナが怖くて映画館に行けない方には小説版もあるのでよかったら。

以上、名もなきテレビマンの独り言でした。
ではでは

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