どうも!マスゴミテレビ局員Tです!
今回は「【ディレクター不要論】制作現場で“不必要なポジション”を1つ挙げるとしたら?」です。
テレビの制作現場では、実に多くの人々が働いています。
ADやプロデューサー、大道具にカメラマン、マネージャー、出演者、メイク、照明…etc.
その中で「最も不必要なポジションを1人だけ挙げなさい」と聞かれたらアナタはどう答えますか?
雑用係のイメージの強いAD?偉そうにしているプロデューサー?ひな壇で騒いでいるだけの芸人?
いえいえ、もっと要らないポジションがあるんです。
私は迷わず「ディレクターが最も不必要」と答えます(つまり僕)。
10年以上ディレクターとして活動するTが、なぜ最も不必要なポジションに「ディレクター」を選んだか?
その答えを通じて、「テレビディレクター」という仕事の真実が見えてきます。
目次
ディレクター不要論
10年以上テレビディレクターを続けてきたT。
最も不要なポジションに「ディレクター」を挙げるのは、自分の首をしめかねない自殺行為です。
それなのになぜ「最も不要なのはディレクター」と断言するのか?
それは「ディレクターは専門スキルが無い」からです。
言い換えれば、「他のポジションは専門性が高く、替えがきかないが、ディレクターは替えがきくし、いなくても番組作りに支障はない」ということ。
いったいどういう事なのでしょうか?
順を追って説明していきます。
根拠:実は、ディレクターには専門スキルがない
番組制作現場において、視聴者は「ディレクターがすべての作業を行っている」と思いがちですが、実際はそんなことありません。
例えば、編集はプロの編集マンがいますし、テロップ(文字)もプロがデザインします。
画はカメラマンが撮影しますし、被写体もプロの出演者です。
企画や構成についても、プロの作家がいます。
メイクはプロのメイクさんが付いていますし、照明もプロの照明マンがいます。
ディレクターは番組作りのあらゆる場面に顔を出しますが、すべての場面で専門性の高いプロフェッショナルが存在し、彼らの足元にも及ばないのが真実なんです。
テレビディレクターがYouTubeをやろうと思っても、ろくな加工もテロップデザインもできないポンコツが半分くらいはいると思います。
そのため、もし番組制作現場で今あるポジションを1つ削るなら、専門性の低いディレクターという結論に至りました。
カメラマンがいなければ、画は撮れないですし、照明がいなければ明かりが足りません。
作家がいれば台本や構成は考えられるでしょうし、プロの編集マンが初めから編集した方が作業も早いかもしれません。
また、同じ制作系の職種でも、「番組の土台を支えるAD」や「予算管理を行うプロデューサー」の方がはるかに重要です。
このように、ディレクターは番組制作現場において「いてもいなくてもいい」ポジションな訳です。
「ディレクター」の存在意義
では、「ディレクターというポジション」はなぜ存在しているのでしょうか?
Tはディレクターの存在意義について、次の2点が重要だと考えています。
- RPGでいう「勇者職」
- RPGでいう「プレイヤー」
「ディレクター」=「勇者」⁉
「ディレクターは「勇者」に似たポジション」だと、前々から思っています。
いわゆる「企画の旗振り役」というポジションを担っているからです。
自分がやりたいことを掲げ、必要な仲間を集めて、ミッションに挑戦する。
勇者でいえば「魔王退治」を掲げて、戦士・僧侶・遊び人などの仲間を集めて、魔王城を攻略する。
ディレクターも「こんな企画がやりたい」と掲げて、カメラマン・出演者などの仲間を集めて、撮影・収録・編集を行うイメージでしょうか。
戦士や僧侶はそれぞれの分野でプロフェッショナルな人材。
たとえ勇者がいなくても、彼らが強ければもしかしたら魔王を倒せるかもしれません。
しかし、それぞれがバラバラに戦っても勝ち目はありません。
やはり彼らを導く「旗振り役」が必要だと思うのです。
ディレクターは優秀な人材を集め、1つの企画・番組のもとに統括する「旗振り役」としての役割が重要。
ディレクターがいるから、様々な職種の人々が1つの番組のために結集できるのです。
逆に言えば、ディレクターという旗振り役がいなければ、番組の方向性が定まらず、それぞれが好き勝手に走ってしまい、訳の分からない番組ができあがるでしょう。
「アイツのためなら…」と優秀な戦士や僧侶を集められるディレクターは、1番大きな仕事をやってのけます。
事実、そういう後輩を何人も見送ってきました…(遠い目)
「ディレクター」=「プレイヤー」⁉
次の重要なのが「プレイヤー」としての役割。
つまり「コマンドを選択する」ポジションです。
分かりやすく言うと、敵と遭遇した時「戦う or 逃げる」のどちらを選択するのか。
「戦う」のであれば「誰がどの敵をどの技・魔法で攻撃するのか?」「道具は使うか?」「回復魔法はどのタイミングで?」etc.
ゲームのプレイヤーは常に「選択」が求められ、それを間違えると強力なパーティでも壊滅してしまいますよね。
ゲームのプレイヤーと同じく、ディレクターに最も求められるのも「選択すること」です。
- 出演者の衣装はこれでいいのか? →YES or NO
- スタジオの大道具の位置はこれでいいのか? →YES or NO
- サイドスーパーのデザインはこれでいいのか? →YES or NO
- オープニングトークはこれでいいのか? →YES or NO
- 照明の当たり具合はこれでいいのか? →YES or NO
先ほど説明した通り、テレビ業界にはディレクターより専門性の高い人材が各所にいます。
そして彼らは、ディレクターが掲げた旗のもと、一生懸命考えて作業をしてくれます。
そうして上がってきた1つ1つの仕事に対して、「これでいい」のか「これではダメ」なのかを瞬時に判断する。
旗振り役として「プロジェクト全体」を俯瞰で見ながら、常に適切な判断を求められるポジションなのです。
例えば、いくら衣装さんがセンスあふれる衣装を着せたくても、番組全体を見た時にイメージと合わなければ拒絶しなければなりません。
相手が自分より実績も上、年齢も経験も上だとしても、言うべきことは言わなければならない、痛みを伴うポジションとも言えます。
結論:ディレクターは「いなきゃ困る」
- ディレクターは専門スキルがない
- ディレクターに求められるのは「企画の旗振り役」「判断力」
ディレクターは各分野のプロフェッショナルには及びません。
その代わり、「企画の旗振り役」として彼らをまとめあげ、番組が望む形になるよう「随所で正しい選択」が求められるポジションです。
Tが思うに、それぞれのスタンスは違えど、どのテレビディレクターも同じように感じていると思います。
スタンスの違いは「勇者」と「ポケモントレーナー」の違いですかね。
- 自らも能力を発揮したい!口を出したい!ライデインを打ちたい →勇者タイプ
- 自らは戦わず、とにかく周りを上手に使いたい! →ポケモントレーナータイプ
あとは指示の出し方もディレクターによって異なります。
- 「たたかう」「にげる」「どうぐ」「ポケモン」すべての指示を細かく出したい →ポケモンタイプ
- 「ガンガンいこうぜ」「いろいろやろうぜ」「命を大事に」などザックリした指示で、裁量を与える →ドラクエタイプ
こういうスタンスの違いはあれど、ディレクターの存在意義は基本変わりません。
このようにディレクターは「別に絶対必要ではないけど、いなければ困るし寂しい」ポジションと言えるのではないでしょうか?
Tは「まさにテレビと同じだ」としみじみ思います。
テレビも「みなさんの生活に絶対必要ではないけど、無ければ困るし寂しい」アイテムですよね。
世の中に絶対に必要ではない者同士、これからもテレビで面白いことをやっていけたらいいなあ・・・。
年甲斐もなく、そんな事を想っているおっさんディレクターでした。
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